構造見学会でのお話

構造見学会でのお話

3月29日の構造見学会のときのお話をもう少し書き留めておきたいと思います。

山の木をご提供頂いた寺川さんは、残念ながらご都合が許さず、お話を頂いたのは、以下の皆さん。

アークス建築事務所の住吉さん(一番右)。

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坂田工務店の坂田さんと棟梁、井吹さん。

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製材して頂いた伊藤源の伊藤さん。

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設計士の住吉さんから説明された内容からの抜粋です。

  1. 具体的に
    • この現場の山側に800m程の近くの森から木を使わせて頂きました。 滋賀南部森林組合さんにお願いし、松2本後は、桧40本ほど伐らせて頂きました。
    • 製材所に持ち込まれましたのは、3mや4m、6mに玉切りされた木として、 松5本、桧112本です。材積で言いますと、 松で277㎥、桧で11.10㎥でした。 基本的に利用間伐として伐られたので、太さも様々で、松で直径16cmから38cm 桧で直径9cmから30cm 細い物は、下地材、太い物は、板にと挽いて頂きました。
    • 今回の木の主な使用箇所は、土台、柱の桧の箇所、火打ち土台、火打ち梁、デッキ板、デッキ廻り木部他です。
    • 結果として、製材所に持ち込まれた木をなるべく無駄なく使いたいということで、 始め設計段階で予定していた材料に替えて、使う事になった箇所も幾つかあります。 (玄関 床板、下駄箱天板、台所作業台天板、床ノ間 地板、ポーチ柱等です) これは、醍醐味でも有り、頭を悩ますところでもあります。
  2. 構造的特徴
    • 基礎は、最近一般的になりました、ベタ基礎として、十分な強度と、床下の湿気対策などです。
    • 上部構造は、軸組構法と言われる、一般的な構法です。 しかし、一般的なハウスメーカーや建売などの建物と比べ、木材の使用量がだいぶ多めとなっています。 土台は、桧、柱は、桧と杉、梁は、杉、2階の前の部屋には、ここで取れた松を使っています。
    • 1階の天井を無くし、2階床板を露しとしています。 これは、工務店の提案により行いました。 Jパネルという杉三層板36mmを全面に貼っています。
    • 2階の天井も今見えています、杉板30mmの野地板として、勾配天井としています。 断熱材は、この杉板の上に高性能の断熱材45mmを乗せ、20mmの通気層を設けています。 30mmの杉板と合わせ、十分な断熱性能を発揮すると思います。
    • 琵琶湖側の軒の出は深く取っていますが、他の三方は、この地域特有の風が強いということで、 壁の汚れを押える事と、屋根下からの雨に侵入を押える必要程度で、あえて短めにしています。地震や風に対抗する、構造的な壁の量も基準の必要量の1.3倍以上としています。

住吉さんからは、「今回の構造見学会では、まさしく木を見て頂きたい。 地域の木がちゃんと使えるということ。 ふんだんに使われた、木の家の温かさ、地元工務店の作った構造の確かさを見て感じてほしい」と締めくくられました。

工務店の坂田さんのお話の中で、「地域の工務店は、文化を伝えていく存在でなくてはならない」というものがありました。そして、それに応えるために現場で研鑽を積まれている大工さんたち。

製材所の伊藤さんからは、規格外の木の製材は普段より苦労が多かったが、せっかく山から伐り出した木をできるだけ余すところなく利用してもらいたいという気持ちで仕事をして頂いたとのこと。

そんな気持ちでがんばっておられる設計士さんや、工務店さん、製材所の皆さんの存在は、頼もしいですね。

この日は、ベトナムからの留学生クィーくんも来てくれました。ベトナムでも、普通の新しい家はコンクリートが多く、木を使った家は高価な家だとか。興味津々の様子でした。

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雨の中、集まって下さった皆さま、そして、沢山のおやつの差し入れをありがとうございました!